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Series/

SnowScape

シリーズ制作の発端は、幼き頃の経験に遡る。
物心いてから8歳までをベルギーで育った私は、両親に連れられてヨーロッパ中を旅した。 その中で最も強くこころに刻み込まれたのが、スイスの雪山だった。 スイスの湖畔で、遠くを眺めスケッチをする5,6歳の頃の写真が残っている。
二十数年後フランスに滞在するようになり、「時間の流れによる自然の変化を絵画で表現する」 というコンセプトのもと、波や光をモティーフにした作品制作にしばらく没頭した。 その間に、再びモンブランへ雪山を一度だけ見に行った事がある。バーゼルアートフェアの帰りに ふらっと思い立って寄ったのだった。
あきらかに人間の手では作ることのできない、自然の威力が作った形がそこにはあった。 それは人間の一生、あるいは人類の歴史すらはるかに超えた、とてつもなく時間をかけて作られ た「何か」であった。
日が暮れるまでその風景を凝視した後、下界とでも言う様な地上の世界に戻って来た時、妙に陳 腐な現実に引き戻された気がした。 この世界をどうしても絵画として伝えたいと切望して、それからさらに長い年月が経った。 この衝撃を伝えるための確かな技法やコンセプトが明確になるには、アイデアを暖める必要があっ たのだ。
その後ツエルマットやインターラーケンへ足を運び、標高4000メートルの空気が希薄な場所で、 シャッターを切る指が震えない様に息を切らして、何度も取材を行った。
このシリーズに本格的にとりかかる明確なきっかけがあったわけではない。常にこころのどこか で意識をしながら少しずつ準備を始めたが、数年に及ぶ多数の作品制作の経験が、これらの作品 の素地を作ったのかもしれない。
ある方がこのシリーズを見て、「まるで人類が死に絶えた後の無人の世界を人工衛星が捉えた、SF の近未来世界のようだ」と評して下さった。 私は、“世界は人間なしに始まったし、人間なしに終わるだろう”(※)という、フランスの人類学 者の言葉を思い出した。
人間の一生という現実の時間からの開放を促す一種の装置のようなもの、それこそがアートだと 思う。
私たちのDNAの中にありながら忘れてしまった遠い過去の記憶を蘇らせ、また同時に私たちの存 在自体が遥か昔の事であったと思えるような、未来的な光景にも触れるものであれば、これほど 有り難いことはない。

Snowscape 2919x2182mm

Snowscape 291.9x218.2cm 2020
Kumohada linen paper, Sumi ink, shell powder, natural mineral pigments 

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Installation view/
Exhibition "Elpis" 2020/Pierre-Yves Caër gallery/FRANCE

Air Gabi 194 x 97cm 2020/Snowscape 292.9x218.2cm 2020/SnowScape 61x61cm 2020

snowscape 162x112cm

Snowscape 194 x 130cm 2019

Paris Art 2019

Installation view / Art Paris 2019 / FRANCE 

Snowscape 162x112cm 2019 / Air#1,#2,#3 61x61cm 2019 / Air / Air 240×240cm 2015 

Snowscape(蒼茫)130,3x 388

Snowscape(蒼茫)130,3 x 388cm 2018 

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Snowscape 80x80cm 2012

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Installation view /  

Snowscape 55x55cm 2012 

SN 2-13 200×200

Snowscape 200x200cm 2013
Kumohada linen paper, Sumi ink, shell powder, natural mineral pigments

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Snowscape 200x200cm 2013
Kumohada linen paper, Sumi ink, shell powder, natural mineral pigments

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Snowscape 200x200cm 2013
Kumohada linen paper, Sumi ink, shell powder, natural mineral pigments

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Snowscape 200x200cm 2013
Kumohada linen paper, Sumi ink, shell powder, natural mineral pigments

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