「釘町彰 個展 ― Absentia – 不在の風景 –」開催のお知らせ
- atelierkugimachi
- 2025年12月6日
- 読了時間: 3分

このたび、東京・YUKIKOMIZUTANIギャラリーにて、釘町彰による個展「Absentia – Timeless Landscape – 不在の風景」を開催いたします。
本展は、過去作から最新作までを通覧できるレトロスペクティブとして、釘町の制作の変遷と現在の到達点を一望できる構成となっています。
作品に宿る「不在」に潜む「存在」の可能性や、揺らぎに満ちた豊かな時間性は、静かに観る者を包み込むように立ち現れ、哲学的かつ詩的な世界観を体験していただけます。さらに、岩絵具や和紙、墨、胡粉といった天然の素材を駆使しながら生み出されるテクスチュアとスケールは、現代アートの新たな地平を切り拓くものとして強い印象を残します。
釘町が一貫して問い続ける「風景とは何か」。その根源的な問いを、ぜひ本展でご覧ください。
「すべては繰り返され、すべてが立ち戻る。ただその瞬間だけが私たちのものである。」アンドレイ・タルコフスキーは『ノスタルジア(Nostatghia)』の中で、父であるアルセニー・タルコフスキーのこの詩の一節を引用している。彼の言葉を「時間の存在というのは円環であり、生命の儚さと永遠の現在を指す」という意味だと考えるならば、「生と死の流転がやがて永遠の生命であり、絶対の今がすなわち無限の時間そのものだ」という鈴木大拙や西田幾多郎の東洋思想の根源を指す言葉と共鳴する。
人や生命の痕跡がない世界、「不在の風景」を描くことで、人類以前あるいは人類以後の風景を示唆させたい。いつしかそう考えるように至ったのは、イタリアやスイス、ノルウエー、アイスランドといった場所でフィールドワークをしている中の圧倒的で崇高とも言える風景との出会いが出発点となっている。 なぜ、草木や動物、あるいは人間の痕跡がない原始的な風景に惹かれるのだろう – そこには圧倒的な「不在」 が常にあった。しかし「不在だ」と考えているのは私の小さな意識がそうさせるだけで、実は地球が形成される膨大な時間というプロセスの中で、現在は荒涼たる風景にもかつては水が滔々と流れ(私たちが火星を想像するように)、そこには動物たちや人間の村があった、あるいはカタストロフの後、数万年後に改めて新たな生命が出現していくのかもしれない。そのように過去や未来に想像力を働かせることができるのも私たち人間のみが持つ特性だろう。
「世界は人間なしに始まり、人間なしに終わるだろう」とレヴィ・ストロースは言ったが、私たちは空間だけでなく、人間という尺度を超えた時間を旅することによって、自分自身もまた移ろい行く円環の中で消えては生まれ、生まれては消える、一瞬をたゆたう存在だと認識することで、今後の行く末に思いを馳せることができるかもしれない。
私は「不在の中の在」つまり膨大な死と生の流転を孕んだ「不在」を、主客未分以前の永遠の現在というタイムレスな風景として表現することで、現代を逆照射し、私たちの文明や現在の人間の立ち位置を見直すことに繋がればと考える。不在の中に潜む存在を見つめ、そこに広がる時間の風景を感じ取っていただければ幸いである。
□展覧会概要
会期:2025.12.13 [sat] – 2026.1.17 [sat] *冬季休廊 2025.12.27 - 2026.1.5
会場:YUKIKOMIZUTANI
東京都品川区東品川1-32-8(TERRADA ART COMPLEX II/1F)
開廊時間:12:00〜18:00
入場料:無料



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