マツモト建築芸術祭展示に関するお知らせ

マツモト建築芸術祭出品用の作品、主催者側の強い要望により展示を続行する事となりました。私としては破損したままの展示はNGで、受け入れるのに数日かかりましたが、今ではかえって破損も含め全てをご覧になっていただく事もありなのではないかと思うに至りました。展示後に修復をしたいと思います。


マツモト建築芸術祭

2022年1月29日-2月20日

長野県松本市内各所

会期中無休

https://maaf.jp


芸術祭会場19 旧司祭館1F

松本市開智2丁目6-24

9:00〜17:00 ※月曜休館



Artist Statement

我々は何処から来て、何者で、どこへ向かって行くのか。

我々とこの世界の関係そのものを問う、それがアートだと思う。


もう8年ほど前になるが、年末イタリアとスイスの国境あたりを車で通った。雪に覆われ、岩肌が剥き出しになった未だ名もなき原始的な風景を目の当たりにした時、まるで別の惑星に降り立った様な時間の喪失とでもいうような感覚に陥った。具体的な色や形状がありながら、しかし同時に渾沌の中で万物が流動しながら、未だ形にならない何かが隆起していく様な生成のプロセスそのもの。老子は、その様な光が現れる以前、つまり、天と地、人間と自然、主と客、あらゆる二項対立が現れる以前の名もなき世界を「玄牝(げんびん)」と呼んだ。その様なことを考えながら、いくつかの絵画と映像を作品に残した。


軽やかでどこか優美な松本の旧司祭館には、初め光のみを描いた絵画こそがふさわしいと考え た。しかし、光のイメージはこの場所には馴染みすぎる様に思えた。やがて、光が現れる以前の 世界を描く、旧司祭館廊下の天井のランプから下に向かって光が現れ出ようとする刹那を繋ぐような空間を作る、という着想を考えた。光が現れる、つまり神がまだ光あれという以前の世界を表現することで、あらゆる宗教や二局分離が起こる以前、主客未分以前の世界を示唆し、そこから逆照射することでまさに危機に瀕している私たちの文明や人間の立ち位置を見直すことに繋がるのではないかと考えた。


(photo:Kazumi Kiuchi)