Lightscape

人がこの世に生を受け、母親のお腹から外の世界へと出たときに初めて見る光とはどういうものだろうか、
そんな疑問がこのシリーズを始めるきっかけだった。

光とは、振動と波という物理的な作用であると同時に、私たちの心を表す精神的なエンライトメントでもある。
それは生きる上で欠かせない希望という名の心的状態であり、その光が心に灯っていなければ人は生きる勇気を失ってしまう。
つまり光とは物質的な現状であると同時に果てしなく非物質的でもあって、その両極を自由に往来する中間的な概念と言える。

東洋に古くから伝わる墨や天然の岩絵具というのは、物質と非物質の間を行ったり来たりする事象を表現するのには実はとても適した素材のように感じる。思えば、地球からダイレクトに抽出される岩や貝殻や砂を使って、粒子であり、波でもある光を描くというのはとても理にかなったことなのかもしれない。仏教では、あらゆるものは幻想であり、色や形は縁起によって時々に姿形を表すにすぎないというが、見る人がそれと出会い、対話し、関係し合うことによって初めてその姿を表す、それが「光」であり、作品でもあるのではないだろうか。

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