スイスとイタリアの国境を車で移動中、全く人気のない雪景色の中を通りま した。急いで撮った、少しブレた写真は驚くべきものでした。 どこか別の惑星に降り立ったような、SFのような風景で、雪と岩肌がむき出

しになった、いわば生々しい自然の様相。

人間の所作を超えたシーンの連続を、一瞬一瞬の映像として捉える。 それを絵画として表現するという試みが、このシリーズです。今回の作品は、 高速での移動中、シークエンスのようにシーンが暫時移動していくその一瞬を 絵画として捉えるという意味で、より映像的な作品です。 これは、そこに見える雪や岩肌といったモティーフよりも、一種の映像媒体 のように、移動中の「空気」が主題となっています。その意味で「Air」と名付 けました。